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研究試薬開発

ペルセウスが世界で唯一全48種類を取り揃えている核内受容体抗体を、世界の核内受容体研究者へ向けて研究用試薬として販売しています。

核内受容体 Nuclear receptors

2006年10月1日

核内受容体は、発生・分化といった生理的因子あるいは環境因子等、種々の刺激に応答してリガンド依存的に遺伝子発現を調節する転写制御因子で、その構造上の特徴から遺伝子スーパーファミリーを形成しています。核内受容体遺伝子はゲノム解読の結果から、ヒトでは48種存在していることが明らかにされています。その中には、グルココルチコイコイドやエストロゲン等をリガンドとするステロイドホルモン受容体やリガンドや生理学的機能が未知のオーファン(孤児)受容体が含まれています。これらの核内受容体は、脂溶性低分子化合物をリガンドとすることに加え、糖尿病や高脂血症といった代謝異常症、薬物代謝、あるいは癌細胞の増殖に関与していることから、創薬ターゲットとして注目されているタンパク質群であります。

(1)ステロイドホルモン受容体

 グルココルチコイド受容体(GR)、ミネラロコルチコイド受容体(MR)、プロゲステロン受容体(PR)、アンドロゲン受容体(AR)、およびエストロゲン受容体(ERalphaおよびERbeta)といった内分泌臓器より産生されるステロイドホルモンをリガンドとする核内受容体で、ホモ二量体を形成してDNAに結合します。ステロイドホルモン受容体は、性分化、再生、糖代謝や電解質バランスなど様々な過程に関与しています。また、ステロイドホルモン受容体は癌細胞の増殖にも関与しており、タモキシフェンやラロキシフェンといった選択的ERモジュレーター(SERMs)は乳腺では抗エストロゲン作用を示し乳ガン治療薬として用いられていますが、子宮内膜ではエストロゲン様作用を示し子宮内膜癌のリスクを増大させるとされています(1)。さらに、ERとPRの発現レベルが子宮内膜癌患者の悪性度および生存率と相関しており、予後指標として病理診断に用いられています(2)。
甲状腺ホルモン受容体(TRalphaおよびTRbeta)、レチノイン酸受容体(RARalpha、RARbeta、およびRARgamma)、およびビタミンD受容体(VDR)は、リガンド産生に外部からの刺激や摂取した要素を必要とすることから、ステロイドホルモン受容体と後述するオーファン受容体との中間的な性質を有する核内受容体として分類されています(3)。

(2)オーファン受容体

 リガンド、標的遺伝子、および生理的機能が未知の核内受容体をオーファン受容体として分類されておりますが、9-cisレチノイン酸受容体(RXR)とヘテロ二量体を形成するオーファン受容体(adopted orphan receptors)が最近注目されております(3)。
 Adopted orphan receptorにはRXRsの他に脂肪酸(PPARalpha、PPARdelta、およびPPARgamma)、オキシステロール(LXRalphaおよびLXRbeta)、胆汁酸(FXR)、および生体異物(PXRおよびCAR)をリガンドとする核内受容体が含まれており、これらの受容体は脂質センサーとしての役割を有しております。合成リガンドおよび動物モデルの成績より、これらの受容体は、脂質の合成、貯蔵、輸送および消失に関わる遺伝子群の発現レベルを調節していることが明らかにされております(4-7)。実際、チアゾリジンジオン系インスリン抵抗性改善薬およびフィブラート系高脂血症薬はそれぞれPPARgammaおよびPPARalphaを活性化することによって効力を発揮していることが明らかにされております(8)。
この様に核内受容体は、性分化、再生、癌細胞の増殖、生体内の糖・脂質の恒常性維持、あるいは薬物代謝に関与しております。したがって、治療薬のターゲットとしてだけでなく、薬物相互作用や患者の治療効果を予測する上でも重要な分子であります。

Reference

1, Jordan VC, et al.
Selective estrogen receptor modulation and reduction in risk of breast cancer, osteoporosis, and coronary heart disease.
J Natl Cancer Inst. 2001 Oct 3;93(19):1449-57. PMID: 11584060

2, Fukuda K, et al.
Prognostic significance of progesterone receptor immunohistochemistry in endometrial carcinoma.
Gynecol Oncol. 1998 Jun;69(3):220-5. PMID: 9648591

3, Chawla A, et al.
Nuclear receptors and lipid physiology: opening the X-files.
Science. 2001 Nov 30;294(5548):1866-70. PMID: 11729302

4, Kalaany NY, et al.
LXRS and FXR: the yin and yang of cholesterol and fat metabolism.
Annu Rev Physiol. 2006;68:159-91. PMID: 16460270

5, Lee CH, et al.
Minireview: lipid metabolism, metabolic diseases, and peroxisome proliferator-activated receptors.
Endocrinology. 2003 Jun;144(6):2201-7. PMID: 12746275

6, Tanaka T, et al.
Activation of peroxisome proliferator-activated receptor delta induces fatty acid beta-oxidation in skeletal muscle and attenuates metabolic syndrome.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Dec 23;100(26):15924-9. Epub 2003 Dec 15. PMID: 14676330

7, Chang TK, et al.
Synthetic drugs and natural products as modulators of constitutive androstane receptor (CAR) and pregnane X receptor (PXR).
Drug Metab Rev. 2006;38(1-2):51-73. PMID: 16684648

8, Staels B, et al.
Therapeutic roles of peroxisome proliferator-activated receptor agonists.
Diabetes. 2005 Aug;54(8):2460-70. PMID: 16046315