ペルセウス通信

第4回日本抗体学会にて当社から3演題の発表がありました

2025年12月04日

みなさんこんにちは。社長の横川です。

第4回日本抗体学会学術大会が12/1〜3の3日間、大宮ソニックシティで開催されました。今回は当社から応募した3演題すべてが採択されたこともあり、私も今まではweb参加でしたが、初めて現地で国内抗体研究の最先端の議論に触れてきました。前回大会を上回る1,030名近い研究者の参加登録があったとのことで、師走に入り外気はこの時期らしい気温になりつつありますが、会場は熱気に包まれ、学会の認知度は着実に高まっている印象でした。

当社からは最新の抗体基盤研究に関する成果として、以下のようなポスター発表を行いました。

一つ目の発表は、名古屋ラボの渡邉研究員(写真①)によるものです。これまで治療薬開発が難しかったがんや自己免疫疾患の標的(複数膜貫通型タンパク質など)に対し、当社独自の抗体選別技術(ファージディスプレイ法)と超高速解析技術(次世代シーケンサー)を組み合わせることで、画期的なスピードと精度で抗体を見つけ出す方法を発表しました。先日の第2四半期決算説明会でもお伝えしました『PPMX抗体ライブラリ2(PPMX Digitalライブラリ)』の技術となります。個別のL鎖配列を識別するようなユニークなタグをL鎖ライブラリに付けることにより、このタグのみを読めばL鎖の全配列を読まなくても、どういうものなのかがたちどころに分かるという仕組みです。これは、新薬開発の成功確率とスピードを飛躍的に高める可能性を秘めており、当社の創薬基盤をさらに強固にする重要な成果です。

二つ目は、同じ名古屋ラボの鵜飼部長(写真②)から、近年注目されている多重特異性抗体(一つの抗体で複数の標的を認識できる抗体)の作製技術において、生産効率や安定性を向上させる「L鎖共通化技術」を提案し、医薬品製造分野の課題解決に貢献するという発表です。既存の抗体でも、これから新しく作製する抗体にも適用できる汎用技術として多重特異性抗体の開発が推進されることを期待しています。

そして三つ目は、日本橋ラボの石井主任研究員(写真③)による、ロングリードシーケンサーという新しい解析装置を使った取り組みのご紹介です。この装置を用いることで、1つ1つの細胞が作る抗体の設計図を、より効率的にかつ短時間で読み取れるようになりました。これは、当社の抗体取得手法をさらに進化させる基盤技術であり、今後の新しい抗体づくりを支える重要な成果です。

これらは、当社のコア・コンピタンスである抗体取得技術の深化を支える“3本の矢”に直結するものです。今後の事業展開に向けて、具体的な創薬への寄与は今後の段階を踏む必要がありますが、研究員は最先端技術の研鑽を続けています。



また、学会併設の企業ブースでは、当社の抗体研究支援のサービスや研究用試薬の製品をご紹介(写真④)。短い3日間ながら、アカデミアや製薬企業関係者とのネットワーキングを通じ、医薬品事業のこれからを考える上で有意義な機会となりました。

得られた知見と研究員の弛まぬ努力を原動力に、革新的な医薬品開発に挑戦し、株主・投資家の皆様の期待に応えるべく邁進してまいります。
引き続き当社へのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

  
(写真①)              (写真②)                (写真③)


(写真④)