ペルセウス通信

今後の成長計画について

2026年06月25日

皆様、こんにちは。社長の横川です。

昨日の株主総会において、株主の皆様より新役員体制についてご承認をいただきました。改めて御礼申し上げますとともに、企業価値の向上に一層努めてまいります。
当社が今後どのような方向を目指し、どのように成長を実現していくのかについて、本日適時開示した「事業計画及び成長可能性に関する事項」においてお示ししております。
その資料中の事業展開に関する3枚のスライドについて、わたしの考えを皆様にご説明します。

事業展開①:抗体取得技術とAI創薬の融合による技術深化
まず、当社のコア技術である抗体取得技術を、AIとの融合により進化させていきます。スライド中央に示したループは、当社が強みとする実験科学と、それを支援するAIを融合させ、抗体創薬を効率的に進める取り組みを表しています。当社の抗体取得技術は、伝統的なハイブリドーマ法に加え、ファージディスプレイおよびシングルBセルクローニングを基盤としています。これらの技術を活用して抗体を取得していますが、取得が困難な抗体については、なお時間を要する場合があります。そのため、当社では、創業以来蓄積してきた抗体の配列情報や特性値をデータベース化し、機械学習に活用しています。AI創薬はまだ萌芽期の技術ですが、当社では独自ソフトウェアの開発も進め、実験科学とAIを有機的に連携させることで、創薬プロセスの効率向上を目指します。この技術は、創薬プロセスにおける抗体取得および抗体最適化に活用されます。


事業展開②:協働による事業価値の拡大
優れた技術を事業価値に結びつけることは、当社にとって重要な経営課題です。多様な抗体取得技術に加え複数の抗体ライブラリを持つことは当社の強みです。それら強みを、今後は二つの方向で拡大・拡張し、成長につなげていきます。
まず、対象疾患をがん領域以外へ拡大します。多くの疾患領域にアンメットメディカルニーズが存在し、抗体医薬品の必要性は高まっています。しかし、当社がすべてを自社単独で研究開発するには時間を要します。一方、これらの疾患領域に強みを有する製薬企業が新たに抗体医薬品の開発をするにはノウハウが必要になります。当社では、この点を事業機会と捉え、特定の疾患領域に特化した製薬企業と連携して共同研究開発を推進します。あすか製薬株式会社との共同研究はその一例です。
もうひとつは新たなモダリティへの拡張です。当社はnaked抗体1)、放射線同位体を結合したRIT2)、さらにADC3)を開発しており技術の蓄積があります。しかし、新たなADCを創出するためにはリンカーやペイロードに関する先端技術を有する企業との共同研究が必須です。その例がUBE株式会社と共同で研究開発を進めているPPMX-T004です。抗体を軸とした新たなモダリティではADC以外にもAOC4)やCAR-T5)が注目されています。これらを開発する企業が抗体の研究開発をこれから始めるのは、先ほどと同様に、時間に加え、経験を有する人材も必要です。こうしたニーズに応えるとともに、当社事業の拡大を図るため、新しいモダリティを開発する企業と共同研究開発を進めています。その例がEurus Therapeutics株式会社との共同研究で、このほかにも複数の共同研究を進めています。
ここで強調したいのは、当社は創薬領域を無秩序に広げるのではなく、抗体技術に資源を集中し、優れた抗体医薬品をがん以外の疾患領域に拡大し、AOCやCAR-Tなどの新たなモダリティへの拡張を通じて事業価値を向上させることです。これにより、当社の中長期的な成長可能性を高めていけると考えています。


事業展開③:当社のカテゴリー
当社のビジネスモデルを改めて整理します。バイオベンチャーにおいて、企業価値向上の中核となるのは「創薬」です。創出した抗体が導出された場合には導出一時金が、上市された場合には売上に応じた収入が期待されます。近年、世界的にバイオベンチャーを取り巻く競争環境は厳しさを増しており、技術および開発資金の面で、日本は米国や中国に比べて課題があると認識しています。そこで当社では、従来の自社単独での開発を中心とした方針から他社との共同研究開発を推進することで、創薬のスピード向上と、開発資金負担および開発リスクの低減につながると考えています。つまり、創薬は今まで同様に当社の中心ですが、当社単独での取り組みに加え、他社との協業を拡大し、新たな疾患および新たなモダリティへと発展させていきます。
次に「抗体研究支援』ですが、アカデミアにおける基礎研究の推進や競争的資金獲得の支援をしています。この中には画期的な発見から共同研究へと発展し、一部は当社の創薬テーマに進展します。アカデミアのイノベ-ションが新薬開発のきっかけになるので、抗体研究支援は、当社の創薬の一つの入り口にもなっています。
そして三つ目の「抗体・試薬販売』では、世界の研究者に信頼される試薬を提供しています。販売を通じて、当社の抗体技術の高さをアカデミアの研究者にご理解いただくとともに実験の精度向上と成功を支援する信頼のツールとして活用されています。その結果、アカデミアの研究者との接点が生まれ、そこで得られる知見が、創薬につながることも期待されます。
当社は、これら『創薬』、『抗体研究支援』、『抗体・試薬販売』という3つの領域を有機的に連携させ、AI技術の活用、対象疾患領域の拡大、新たなモダリティへの展開を通じて、さらなる成長を目指してまいります。


また、導出活動についても、引き続き注力してまいります。
株主・投資家の皆様におかれましては、引き続き当社へのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

用語解説
1)naked抗体:IgG抗体
2)RIT(Radioimmunotherapy):放射性同位体標識抗体
3)ADC(Antibody-Drug Conjugate):抗体薬物複合体
4)AOC(Antibody-Oligonucleotide Conjugate):抗体オリゴヌクレオチド複合体
5)CAR-T(Chimeric Antigen Receptor T-cell):キメラ抗原受容体T細胞