みなさんこんにちは。社長の横川です。
梅雨を忘れてしまったかのように5月から異例の暑さが続き、先日は国内で観測史上最高気温を記録との報道がありました。一方で降雨不足による取水制限かと思いきや、九州地方や北陸地方では記録的な大雨による土砂災害や浸水被害と、極端なニュースが列島を駆け巡っております。被害にあわれた地域の方々には心よりお見舞い申し上げます。
さて、本日2025年度第1四半期の決算を発表しました。抗体研究支援および抗体・試薬販売による売上は順調に推移し、前年同期比でプラスとなっております。抗体研究支援では5月からラクダ由来の VHH抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング・作製サービスの提供を始めました。また抗体・試薬販売では ADC研究開発用抗体や疾患研究用抗体の販売を開始しました。お客様である国内外の製薬企業やアカデミアのニーズにお応えすべく、サービスや製品の品揃えを増やしております。
一方、当社の最重要経営課題と位置付けているPPMX-T002とT003の導出は、皆さまに朗報をお伝えすることができない状況が続いており、申し訳ない限りです。本日は、可能な範囲とはなりますが、現在の状況について少しご説明いたします。
本年4月8日のペルセウス通信でもお伝えしたように、T002、T003は精力的に導出交渉を進めております。世界中には数多くの製薬会社やバイオファーマがあります。これらをターゲットに、あらゆるルートを活用した導出活動と共に、これまでのアプローチで先へ進まなかった相手先へ新たな情報を加え、再提案を行うなど、考え得る限りの戦術を立てて取り組んでいます。
現状、T003においてはPV治療薬を取り巻く複数の競合品目が出現し、導出環境はとても複雑かつ不透明な状況です。しかし、T003のユニークな作用機序は他に例が無く、その優れた特長は競合品を凌駕し得るものと思っています。我々は導出候補先に対して粘り強くこの優位性を説明しています。
また、放射線によるがん治療を目指すT002は、抗体以外の新モダリィーの登場で市場が複雑化しておりますが、抗体の優れた集積性と安定性は、長年の医薬品実績に裏付けられております。導出交渉は、相手のいることであり、競合品の開発状況や市場動向、さらには導出候補先の事業戦略等の様々な要因によって潮目が急に変わることがあります。最後まで決してあきらめません。
当社は最新の抗体取得技術に立脚したバイオベンチャーです。汎用技術では難しい抗体を当社技術で取得し、次の抗体パイプライン創出に向けた創薬活動を推進しております。その源泉のひとつとなるのが、前期に完成し、実用化に向けて期待をしている「PPMX抗体ライブラリ2」であり、更にそのプロセスを加速させるツールが、アカデミアと協業し取り組んでいる「AI創薬」です。
世界的に創薬シーズ創出の流れが急速に変わりつつあります。従来、製薬企業が単独でシーズの発見から研究、開発、上市までを一気通貫で行ってきましたが、いまは分業化が進んでいます。特にモダリティーの多様化に伴うシーズの探索研究はバイオベンチャーに依存する傾向が強くなっています。まさに当社にとってもビジネスチャンスです。既存の抗体技術に加え、「PPMX抗体ライブラリ2」と「AI創薬」という二つの革新的技術を利活用し、新たな成長に向けて邁進してまいります。
皆様におかれましては、引き続き当社へのご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。